東京都板橋区のお菓子教室 Atelier “comme tu veux” (アトリエ コム テュ ヴ) です。

レッスンでは、ホームパーティーや手土産にもぴったりな、おいしくて華やかなお菓子をご紹介しています。

今日はシュトレンのお話

シュトレンの季節はすでに過ぎてしまいましたが、ドイツ在住の友人に、現地でのシュトレンについてあれこれ聞くことができたので、ここでまとめておきます。

そもそもシュトレンって?

一応さらっとおさらい。

ドイツのドレスデン(チェコに近いドイツ東部)が発祥と言われていて、主にアドベント期間に食べられる発酵菓子。(有名店では一年中売られてます)

ドレスデンではクリスマス前にシュトレン祭りが開催されたり、「ドレスデンのシュトレン」を名乗るには配合に決まりがあるとか、私の中では、ドレスデンと言えばシュトレンしか思い付かないです。

ちなみに、stollenは”シュトレン”と発音します。
日本ではもっぱら”シュトーレン”と言われることが多いですが、ドイツに詳しい友達からこの事実を聞いて以来、自分のなかでは”シュトレン”と言うことにしてます。

でも、いつどうして”シュトーレン”になったんだろう・・・?

おいしいシュトレンとは?

パリ留学中にドイツ旅行をして、ドレスデンでシュトレンを買いました。2006年の話で、ぼんやりした記憶しか残っていないのだけど、そのシュトレンはパサついた感じで、あまり美味しいと思えなかったことははっきり覚えてて、以来、シュトレンにはあまり良い印象を抱けないことに。
(最初に食べるものの印象って大事!)

同じく、ドイツ旅行で買って食べたらイマイチだったという同意見のお友達がいらしたので、やっぱりそうなのか〜と自分の中で納得してました。

その時9月だったし(一般的に店頭に並ぶにはちょっと早い)、てっきり年中売られている有名店とかで買ったんだろうと思い込んでいたけど、今、改めて旅日記を読み返したら、「マルシェで買った」と。

えー!
だから微妙だったのかな?!
でもたぶん「ドレスデンのシュトレン」認証は付いていたと思う。
せっかくドレスデンまで行ったんだから、有名店で買いなよ、って当時の自分に言いたい・・・

日本でシュトレン放浪

日本でもおいしいシュトレン求めてあれこれ探しました。

有名なところだと、ピエールエルメやZopf。
エルメさんはドイツに接するアルザス出身だし、Zopfは店名しかりドイツパン寄りのパン屋さん。

それでも、毎日食べたいと思えるほどではなく、結局、シュトレンというのはこういうもの(ちょっとパサついた保存性の高いフルーツパン)であって、シュトレン自体、私の好みではないのかなと思うに至りました。

日本流シュトレンの進化

と、諦めかけてた去年、お友達からおすすめシュトレンをいただきました。
それが美味しかった!

栗の入ったちょーしっとりシュトレンと、逆にザクザクしたチョコシュトレン。

今までパンの延長線上にあったシュトレンが、全く別の線上にも存在していたことにかなり衝撃を受けました。

「ドレスデンのシュトレン」の配合は完全に無視されていて、そういう意味では本物のシュトレンではないかもしれないけど、日本人の口に合うように進化したシュトレンなのでした。

ドイツはどうなのか?

そういう、独自の進化を遂げている日本のシュトレン、ドイツ的にはどうなのか聞いてみると、ドイツでも型にはまらないシュトレンがたくさんあると言うのです。

ドイツ人=伝統をきっちり守る、という凝り固まった印象でいた私には驚きの事実。

あくまでもドイツ北部に住む友人のサンプルでしかないのですが、クランベリー、ナッツなどが入ったものや、りんごのシュトレンが美味しいとのことで、どれもしっとり食感だそう。

ケシの実やマジパン入り、これらはクラシカルなスタイルですが、彼女いわく、マジパンは美味しくない!って(笑)
わかるわかる!ドイツ人は大好き。
フランス人も好きみたいだけど、日本人は結構苦手な人多いはず。

大きさも様々で、小さいものだとクッキーサイズぐらいで、ちょこっとつまめる感覚。ハート形なんかもあるそうで!

大小様々なシュトレンを手土産に、アドベントのお集まりに持って行ったりするんだとか。

でもって、日本みたいにきっちりかわいくラッピングしてくれるというのも意外な事実でした。

ドイツ人はみんな各家庭でも作るの?

ひとつ、気になっていたことも聞いてみました。

BMWの東京オフィスで働いていた友人から聞いた話。

クリスマス前になると、ドイツ人の同僚たちがみんな、本国の親族から送られてくる(おそらく手作りの)シュトレンを会社で振舞うので、あちこちシュトレンだらけになる、って。

ドイツからわざわざ日本に送ってくるって、ドイツ人にとっては相当欠かせないものなんだろうとその時思いました。

私のイメージでは、各家庭それぞれのレシピがあって、時期になると何個も焼いて配ったりするのかなーという感じ。

けれども、友達の旦那さま(ドイツ人)の周辺では自家製シュトレンは聞いたことないということでした。

日本で言うところの、おはぎを手作りする家庭があったりなかったり、ってところかしら?

シュトレン、私なりのまとめ

シュトレンをめぐる15年来のもやもやですが、結局、私はドレスデン風の伝統的シュトレンを思い描いていたものの、いろいろに変化して、それぞれおいしく進化したシュトレンもシュトレンなのだ、ということに帰結しました。

そして、日本で入手可能な「ドレスデンのシュトレン」があるようなので、ぜひそれを食べてみて、改めてドレスデン風を判断してみようと思います。

ドレスデンで美味しかったもの

おまけで、当時の写真を見ていて発見したドレスデンで美味しかったもの。

飾りっ気がなさすぎる・・・
チョコ生地に挟まれたチーズケーキ的なものでした。
甘さ控えめで美味しかった、とメモあり。
手のひらサイズで1ユーロ。安っ。

見ての通り、ドイツ菓子は華やかではないけれど、素朴さに惹かれるところがあります。

いつかまたドイツで、お菓子やシュトレン巡りをしてみたいものです。